セブンイレブン24時間営業騒動への、いささかの違和感。(後編)
どうも、ジヤッキー天野です。
前回の続きとして、セブンイレブンの件を取り上げる。
後半では、期せずして社会問題化した件について考える。
違和感その2。
セブンイレブン、相当叩かれてますなあ。
でさ。
なんで、セブンだけなん?
ローソンは?ファミマは?ミニストップは?
リーダー戦略を採る企業の宿命といえばそれまでなのかもしれないが、今の叩かれ度はちと酷に感じる。皆ナナコ持って散々利用しているだろうに。セブンってそんなに社会悪だったか?
(ちなみに過去記事を検索したところ、ファミマはかつて営業時間短縮の検討をしているらしい。ただその後その話を聞かないので、多分上手くいっていないと思われる。その理由と推察される点は後述する)
違和感その3。
本件について、関西経済界からも苦言が呈されたらしい。
ほお、モノ申したのは銀行さんとメーカーさんですか。これだいぶ妄想含みになるけど、こういう時に小売って本当格下に見られるんだよなあ。士農工商なんていまどき言ったら怒られるかもしれないけど。
もっというと、なんでBtoBの企業ってBtoCの企業に対してあんなに優越感を持ってるんだろうね。銀行の中でも序列はホールセール>リテールらしいし。
そこまでいうなら、世の中の工場も全部3交代勤務とかやめりゃあいいのに。製鉄所とか止めたらとんでもないことになるけど。
違和感その4。ここが一番大きい。
「終夜営業止めましょう」「ほい、止めました」なんて簡単にできるのかどうかを想像している人が、どれほどいるだろうか。
そして、それは一企業の経営にとどまらず、結構なおおごとではないかと想像する人が、どれほどいるか。
一つには、物流。
夜中に多くの商品の配達と荷受及び陳列を済ませるオペレーションが、ガッチリ組まれている筈だ。その夜間の配送ルートは複数店舗にまたがり、鉄道のダイヤ並みの緻密さだと思う。
これらのトラックが全部日中に出てきたら、道路がたいがい混むぞ。それ、どうすんだ。
あなたの家の前の生活道路を、コンビニのトラックが日中バンバカ走るかもしれないぞ。なんなら、お子さんの通学時間帯かもしれないぞ。それ、どうすんだ。
配送を夜中のまま据え置くとすれば、閉店中の薄暗い店内に陳列要員を待機させておく…という訳にもいくまい。だったら開けておいても同じ、となる。
(強いて言えば、本部採用で陳列キャラバンを組成してマイクロバスを仕立ててトラックと並走させて流れ作業で捌いていく、という方式はアリかもしれないが。というかあのセブンなら、既に考えてそうな気もする。しかしながら、キャラバンの人件費の多くが「店間の移動時間」に費やされてしまうことを思えば、総コストはむしろ上昇する恐れもある。オーナーからその分のフィーの徴収は不可避で、店舗経営的にペイするかどうかは、まったく未知数だ。
あるいは、昔みたいに7時開店として、トラックドライバーに店の鍵を渡しておいて常温品は閉店中の店内に突っ込んでもらっておき、陳列は5時ぐらいからいっせーのせ、という方式もある。より現実的なのはこちらだろう。ただ、あいにく店舗の諸準備にかかる総人時がどれぐらいかかるのか、終夜営業と比べて人時が短縮できるかどうかをを知らないので、計算が成り立つかどうかはわからない。ちなみに成り立つ場合、次の問題が生ずる。)
二つ目には、雇用。
いま夜中に働いている人の多くが雇い止めになるかもしれないが、これをどうするのか。
日中も人手不足の折、うまくシフトできて経営的にもめでたしめでたし、がベストシナリオではある。ただ、そんなにうまくいくかどうか。なにより、夜にしか働けない人もいるだろう。
ちなみにブラック企業論でおなじみ今野晴貴さんは(この方、Ya○ooニュースでおよそ関係なさそうなニュースにナナメ45度の方角から絡みついてR:255 G:0 B:0みたいなオーサーコメントを放ちオルグ活動に余念がないので、いつも生温かく見守っている)、オーナー側の立場についているようだ。夜のバイトさんはどうする?オーナーのほうが労働組合費の払いがよいからバイトは切り捨て、という訳ではありますまいね。何、それも引っくるめて本部で全部面倒見ろってか?それは流石に自由主義社会を逸脱しているにも程があるでしょう。
で最後に、それとちょっと関連して違和感その5。
オーナーさんから悲鳴噴出、とのことらしい。
辛いのはお気の毒だが、ご自身で選んだ道だ。そこをやりくりするのが経営者の才覚である。
てか、上のほうにも書いたが、オーナーさんってそんなにみんな怒っているのか?そこまでしんどいならポプラとかセイコーマートに看板替えという手もなくはない、経営判断として(結果は保証しないが)。
で、ニュースを見てみると。
(一部引用)
大阪府にあるセブンイレブンのフランチャイズ店が短縮営業を行ったところ、本社から契約解除と1700万円の違約金支払いを言い渡された件を受け、コンビニオーナーらで作る「コンビニ加盟店ユニオン」は2月27日、セブンイレブン・ジャパン本社に団体交渉の申し入れを行った。
(引用おわり)
「コンビニ加盟店ユニオン」とな。
おう、ユニオンか。
ああ、ユニオンなんだ。
それ悪いけど多分、オーナーの総意を代表してないぞ。
これ会社の中の人が書いたら不当労働行為でどえりゃあことになるけど、俺部外者だからまぁいいや。
そのユニオンって、入ってんのはごく一部ですよね。
「今こそ立ち上がれ、皆さんはブルジョワじゃない、プロレタリアートなのだ」みたいに焚きつけられて勧誘を受けて入った方々、ですよね。
で、R255G0B0な感じでまくし立てる、アレですよね。
利益を主張し過ぎて会社が傾いて結局社員にトバッチリが来ては元も子もないから、何を主張すべきかを真剣に考えつつ労使にとってのよりよいあり方を模索していこう…みたいな建設的な発想は1ナノメートルも持っていない、アレでアレなアレですよね。
あーこりゃセブン先生、エラいもん食っちゃったなあ(米長永世棋聖風。わかる方だけわかればよい)。
申し訳ないけど、ちょっとそれは甘いんじゃない?
だってコンビニの看板って、それだけ強いもん。
自前の看板で個人商店を続けることに比べれば、圧倒的に力があるもん。だからみんなフランチャイジーになるんだもん。
たしかにフィーも高くて大変だろうさ。けど、客が来ないとそもそも始まらないってのは、商売の基本でしょう?ていうか、職業選択の自由を行使すれば済む話なんじゃないの?
メリットのみ享受して文句垂れてってのは、悪いけどそりゃちょっとズルイよ。
よその仕事場に拡声器持って旗振りに行く時間があったら、自分の店のレジ打ちをなされ。
コンサルタントの仕事に例えれば、ちとばかし頭に自信のあった奴がたまたまマッキンゼーかなんかに入ったものの全然使い物にならなくて、普通なら限界を感じて自ら去るところを「仕事がキツい!俺に見合った仕事を寄越せ!」と吠えてるようなものだ。いや、無理だから。というか出来る奴は出来てるもの。稼ぐ奴は稼いでるもの。甘えーよそれ。甘えーよ。
え、お前やってみろって?いや、やるつもりないもん、悪いけど。自分で選択しなければ、やることはない仕事だもん。経営の才覚のない俺には無理。
余談だけど、今回の件に憤慨している自営業や起業家の人、それなりにいると思うよ。みーんな、苦労してんだもん。コンビニのFCなんて上げ膳据え膳じゃないか、まだ贅沢言うか!って。私はサラリーマンですけども。
お、ニュースによるとセブンは断交を拒否したらしい。当たり前だ、そんなもの。1億パーセント正しい。
…ちょっとエキサイトしてしまったが、しこたま稼いでいる優良経営者オーナーさんのご意見も、是非聞いてみたいところである。そういう方の中には戦略論とかマーケティングとかモチベーションマネジメントとか一生懸命勉強されている人も多々いるだろう。ビジネスって弱肉強食よ、シビアだけど。
いろいろ感じた違和感は以上である。
もっともあのセブンイレブンのことだ、どう収束させようか、転んでもタダでは起きねーぞとスモールパッケージホールド的展開を狙っていることであろう。業界の雄として、今後の切り返しに期待したい。
で、とりあえずもし24時間廃止に成功した暁には、客の皆さんにおかれては、行ったコンビニで日中に通路塞いで陳列してても絶っ対に文句言ったらあかんぜよ、と強く主張して本稿を終えたいと思う。お粗末でした。