セブンイレブン24時間営業騒動への、いささかの違和感。(前編)
こんにちは、ジヤッキー天野です。
先日タクシー乗り場の行列で仕事仲間と「ジャパンタクシー来い!来い!」と盛り上がっておりました。あぁ小市民。
さて、セブンイレブンの24時間営業の騒動が大きくなっている。
ことの発端は、2月下旬のあるニュース。
セブンオーナー「過労死寸前」で時短営業…「契約解除」「1700万支払い」迫られる|弁護士ドットコムニュース |
https://www.bengo4.com/other/n_9269/
記事を要約すると、コンビニのオーナーさんが配偶者を亡くしてしまったことをキッカケに事業継続困難となり、本部に時短営業を懇願するも敢え無く却下、どうしても辞めたければ違約金1700万を払え…。というものだ。
そこから諸方面に火がついて、セブンイレブンもやむなく営業時間短縮実験の着手に至る。
はい、天邪鬼発動確定。私の天邪鬼アンテナが、バッキバキにおっ立っております。ここらでちょっくら「少数意見」でも述べてみましょうか、と。
あらかじめ自分の立ち位置を示しておくと、短縮できるものならば、するに越したことはないと思う。「できるものならば」、ここがポイント。
あと、自分は新卒の頃小売に勤めていたけれど、それはコンビニ業界ではなく、またどちらかといえば7&i系は競合相手だったので、セブンイレブンさんに特段肩入れする意図はない。悪しからず。
さて、まずもっての大前提として、本件を語るにあたって「くだんの可哀想なオーナーさんのお話」と「社会問題としての終夜営業の是非」は、別の論点であろう。勿論前者が後者の議論創出の一つの契機にはなっただろうが、あくまで別次元のこととして問題を切り分けるところから始める。
そのうえで、違和感その1。
まずは、そのオーナーさんの件だ。
いや無論お気の毒である。さぞやお気落としであろうし、お辛いし、大変だろう。
それを承知で、自分でも鬼畜か閻魔かと思いつつ、敢えて申し上げる。
ビジネス的には、それってやっぱり、「契約不履行」だ。
オーナーと本部で契約をする。
オーナー側はフランチャイズ料を支払うとともに営業上の一定の条件を履行する。
それと引き換えに「看板」、すなわち強力な集客力とバイイングパワーとオペレーションのノウハウを手に入れる。これがあらゆるフランチャイズビジネスの基本だ。そしてオーナー側には、フランチャイザーを選ぶ権利がある。
で、セブンイレブンの場合、24時間営業は契約条件に当然入っているだろう。
だったら、どこまでいっても本件は「いま現在の契約における、契約不履行」と言わざるを得ない。
かくなるは、選択肢は3つ。
1。頑張って人を雇って、営業を継続する。そもそも、人の雇い方に長けていて複数店展開できるような「経営者能力の高いオーナー」でないと、かなり厳しい業界だと思う。同じ看板でオーナー間競合とかザラだろうし。
2。店を畳む。今回たまたまコンビニだから目立ったけど、個人商店で家族構成が変わって営業困難みたいな話は一般的にあることだ。
違約金の額はお気の毒だが、それも当然契約条件の内であるからには、致し方ない。
(そのうえで本部が減免や支払い猶予や分割払いを認めるかどうかは、裁量が入る余地はある。)
3。店を売る、または譲る。先に上げた「複数店持ちの経営者オーナー」がいるはずなので、潔く経営センスの差を認めて、渡す。引受先があればの話だが。
(ちなみに、そうした優良オーナーさんのなかには、今回の騒動をもかえって苦々しく思っている人も、いるかもしれない。こちとらうまくいってんだ、余計なことすんな、な人もいると思うのだが。目下この問題は「オーナー側の蜂起」みたいな報じられ方になっているが、その視座だけでこの問題を捉えると、構図を見誤ると思う。詳細後述。)
かように、選択肢は限られる。もっとも敢えて挙げるなら、開業時にあまーいセールストークで酔わされて「そんな話聞いてねえ」みたいなことが万一あれば、本部に過失ありの可能性もある。ただそれも自由主義の法治国家たる先進国においては、ご負担だとは思うが、訴訟に持ち込むのが原則となる。
ということで誠にもって心苦しいが、例のオーナーさん問題については「仕方ない面もある。だって、ビジネスだもの。」との結論を持って、切り分けを済ませることとする。
さてここからは、期せずして社会問題化した件について考える。
(長くなったのでつづく)